VOL.48 ももちゃんの影響力/2005年12月8日(出会いから469日)




相棒猫日記
突然、一年以上も前に買ったおもちゃがあったことを思い出した。
まるくなって眠っている猫の体に、ポンポンのついた棒がたっていて、スイッチを入れるとその棒が回転する。
すると、ポンポンとポンポンに付いているひもが不規則に動き、その動きが猫さんの狩猟本能をくすぐるというもの。

これは楽しそうだと購入したが、うめちゃんはポンポンの動きがこわいのか、遠くから見つめるだけで、なかなか近づこうとはしなかった。
すっかりごぶさたしてしまった猫のおもちゃをひっぱり出す。
名付けて「ポンポン回転猫さん」。
相棒猫日記
さっそくスイッチオン!うん、まわるまわる。ポンポンがまわっている。
ももちゃんが「ポンポン回転猫さん」に近づいて行く。
クイックイッ。手を器用に動かし、ポンポンに触る。
クルックルッ。ポンポンがまわる。
クイックイッ。ももちゃんの手が動く。

楽しそうに遊ぶももちゃんの様子を見ていたうめちゃんが遊びに参加する。
「ポンポン回転猫さん」に近づき、手をクイッ!
よかった。ふたりの楽しみがひとつ増えた。





天真爛漫、無邪気で好奇心旺盛なももちゃんの行動は、こんな風に少しずつ、うめちゃんの日常にも影響を与えている。
人が大好きで、物怖じも人見知りもしないももちゃんは、初めていらしたお客様にでも平気で近寄って行って、ご挨拶をする。
時には膝の上に飛びのって撫でてもらうなんていうちゃっかりやさん。
そんなももちゃんに影響されて、うめちゃんは以前ほど、お客様に対して警戒心を見せなくなっている。
自分からお客様にご挨拶に行くなんてことはまだまだできないが、自分のペースを守り、のんびりと眠っていられるようになったのだ。

どんなに楽しく遊んでいても、ピンポンが鳴ると慌てて私の机の下にもぐり込んでいたうめちゃんを思うと驚くべき変化。
お客様が来るたびに、ストレスになりはしないかと心配していた時期があったのが遠い昔のことのようだ。 

それからもうひとつ。
よく水を飲むももちゃんのおかげで、うめちゃんも水を飲むようになった。

もちろん、うめちゃんがこれまでまったく水を飲まない猫さんだったわけではない。
こわがらずに水を飲むようになったといのが、正しい表現だろうか。

うめちゃんは、水を飲んでいる時に人が近づくと、ハッとしたように首をすくめ、身を固くし、一点を見つめたまま動かなくなってしまう時期が長く続いた。
特に男性が近づくと、その反応が激しい。
「うめちゃん、ここにいれば、何もこわいことなんかないんだよ…」見ている私にとってはあまりにも切なくて、悲しくて、痛々しい姿。
不思議なことに、ごはんを食べている時には、誰が近づいても平気。
身を固くするのは、水を飲む時だけの反応だ。

推測でしかないけれど、うめちゃんがひとりで生きていた時代に、水を飲んでいるうめちゃんに対して、ひどい仕打ちをした人間、おそらく男性がいるのではないだろうか。
そう考えると、水を飲むという行為に、これほどの緊張感を見せるうめちゃんの心理が少しだけわかるような気がするのだ。

優しいお母さん猫さんのもとで暮らしていたももちゃんが、ごはんの時、お水を飲む時に警戒する必要があるはずもなく、とてもおいしそうに水を飲む。
そのおかげで、水を飲む時にこわいことは起こらないと、うめちゃんもわかってくれたのだろう。
私にとって、うめちゃんが何にも警戒せずに水を飲む姿を見るのは、とても幸せなこと。
きっと、うめちゃんにとってもそうだろう。
ももちゃんのおかげで、少しずつ、楽しい変化が現れている。
ありがとう、ももちゃん。よかったね、うめちゃん。




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